きた!南斗水鳥拳vs南斗紅鶴拳
この9巻に収録されているレイ対ユダの決戦もとくに印象深い闘いでした。
ずばり南斗対南斗。南斗水鳥拳の使い手であるレイと、南斗紅鶴拳を操るユダという同じ南斗聖拳の流派に属しながらも、対照的な二人の因縁が描かれることで、この戦いにさらに深みを持たせます。
レイは正義感と仲間への愛情に満ちた人物。
一方ユダは美と自己愛を極限まで追求した男。
その対比は、二人の戦いを単なる拳と拳のぶつかり合いではなく、イデオロギー対決的な、いわば価値観の衝突としての濃さがありますね。
ユダがレイを挑発し、怒りを引き出す様子は、子どもの頃はかなりハラハラしながら見ていました。
そしてユダのの美への執着と敗北を認める瞬間、彼の人間性が一気に表出したというか、敵ながらも一抹の哀愁を感じさせますね。
サウザーの最期もそうでしたが、あの切なさはどっぷりと来ます。
北斗が主人公の作品ですが、南斗の闘いも強く美しいです。